気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
賀上さんに、今考えていたことを言えるわけがないしバレても困る。
だがさすがに景さんとわたしがキスしたなんてことを察することはなかったようで、賀上さんの視線は手元へ戻っていった。

そうだよね、特殊能力を持つ宇宙人じゃないんだから、なにもかもポンポン思っていることを賀上さんに知られてしまうわけがないよね。

いや、気づいてるけど言わないだけとか?
だって賀上さん、わたしが景さんのことを好きって絶対気づいているだろうけど、それを一言もわたしに聞いてこない。

賀上さんなりの気遣いか、単に聞きたいと思うほど興味がないだけか。

それでも、峯川さんのことや、景さんを避けてしまっていたときにわたしの話を聞いてくれたりして、最近は仕事以外のことでいろいろ面倒をみてもらっている気がする。

「あの、賀上さん。ここ最近いろいろとありが――ぶわっ!?」

「ほら、さっさと戻れよ」

わたしの顔に紙表紙のファイルが飛んできて、ぼすっとおでこを叩かれた。
叱るような言い方だけどほんのりと笑みを浮かべる賀上さんに、額をさすりながら「はい、戻ります」とおとなしく呟いて、自分のデスクへと戻った。

ちょっと前まで“上司”というのが強くて、軽い感じのやりとりをするようなことはなかったから、今のような絡みを賀上さんとするなんて不思議。
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