気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
「普段、仕事だから俺のことを気にしてくれているんだろうって思って、一緒に仕事をして楽しい関係を壊さないように『他の女の子より親しいだけ』って言い聞かせていた。だけど……俺はどうしても、春ちゃんを特別な女の子として見ちゃうんだ」

景さんも、わたしと同じことを考えていたの?
仕事でそばにいられる関係を壊さないようにって……。

「景さん……わたしっ……」

「ねえ、春ちゃんもさっき俺のこと好きって言ってくれたよね?」

わたしの頬に触れた景さんが熱っぽく見つめてきたから、彼への想いをもう一度伝えたくなった。

「わたし、景さんのことが好きです。好きで……そばにいたくてっ……」

頬に触れる景さんの手を握ってそう言ったわたしの瞳から涙がこぼれた。
すると、景さんはもう片方の手でわたしの頭を撫でる。
ふっ、と笑った彼だけれど、そこに温かさを感じた。

「好きって言ってるのに泣くのかよ」

「だって……け、景さん、本当にわたしのこと……」

「本当だよ。信じてくれないの? なら、春ちゃんの好きなところ百個言おうか」

「そ……そんなにあるんですか?」

「うん、いくつも被るけど」

ですよね、さすがに百個もないですよね! もうっ、考えればわかるけれどドキッとしちゃったじゃないかっ。
わたしはむくれて濡れた目元を押さえたけれど、その両手を退かすように掴んだ景さんは顔を近づけて優しく唇を重ねてきた。
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