銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「姉さんは今その格好だから何をしても大丈夫だよ。だけど、そのウィッグがいつ取れるかわからない状態なんだ」


瑠依の言うことはもっともだ。


このウィッグがどんだけ頑丈で、いくら月影として戦っていた時に取れたことがないと言っても、それは運が良かっただけかもしれない。


もしかしたら生徒たちに捕まった時に取れるかもしれない。


もし生徒たちに危害を加えてしまったとして、ウィッグが取れてバレてしまった時。


夕凪はいろんなところからバッシングを受けることになる。


3年生に至っては、私の正体を知ってるわけだし。


瑠依はそのことが言いたい…?


いや、この事もそうだけど、違うと…私は思う。


「いたぞ!!」

「こっちだ!!」


バタバタと足音が聞こえる。


やばいっ、見つかった!!


「案外見つかるの遅かったな〜」


「瑠依?」


早く逃げないとヤバいのに。


瑠依はそこから一歩も動こうとはしない。


その間にも鬼である生徒たちは私たちとの距離を縮めている。


逃げないといけないのは私だけ。


だけど瑠依をここに置いていくことだけは出来ない。



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