銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「姉さん、早く行きなよ」


瑠依はそう言うと、私の背中を押した。


「っえ、えっ?!」


ぶつかるっ?!


次にくる痛みを覚悟し、目をぎゅっと瞑る。



…あれ?痛みがこない?


それにこの温もりは一体…?


ゆっくりと目を開けると。


「し、史音っ?!」


なんでここにっ?!


ていうか、ど、ドアップ!!


しかも…何か抱きしめられてる?!


「史音さん、姉さんをよろしくお願いします」


「ああ」


史音は短く返事をすると、私の腕を引っ張って走り出した。


「ちょっ!瑠依はっ?!」


「僕は後から追いかける!…大丈夫だよ」


瑠依はそう言ってキレイに微笑んだ。


瑠依がそう言うなら…姉である私はその言葉を信じるしかないよね?


「絶対だからね!ゴールで待ってるから!」


それだけを言って前を見る。


後ろから叫び声が聞こえるけど聞こえない振りをする。


瑠依の思いを無駄にしないためにも…私は逃げ切らないといけない!!


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