銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「んー、しいて言うなら助けてくれたからかな?」


私が助けた?


…どんなに思い出してみても思い出せない。


「…三原瑠依」


聞き覚えのある名前に、肩がビクリと揺れる。


瑠依を知ってる?


ここで瑠依の名前を出すということは、私と瑠依の関係も知ってるってこと。


高梨くんの家の力なら調べるのは容易いことだろうけど。


一つ疑問点が浮かんでは消えていく。


…彼は、高梨くんはもう一人の私のことも知ってるのでは?


シルバープリンセスの裏の顔、〝月影〟のことを。


「ああ!別に脅すとかじゃないからな?!」


「え?違うの?」


てっきりそうかと。


ふっと肩の力を抜く。


「違うよっ!言っただろ?夕凪さんに助けてもらったって!」


そういえばそんなこと言ってたっけ。


「申し訳ないですが、私は高梨くんを助けた覚えはないです。ちゃんと話したのも初めてですし」


そう言うと、高梨くんは右手で頭をがしがしと掻いた。



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