銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「あーごめん。言い方悪かった。夕凪さんが助けたのは俺の弟」


「高梨くんの弟?」


高梨くんに弟いたっけ?


そんなこと初めて聞くし、家族構成にも弟なんて書いていなかった。


…なんで家族構成を知っているかというのはまたいつか。


「高梨純、いや、今は針山純って言うんだけど。…髑髏って知ってるか?」


〝髑髏〟


聞いただけでもすぐにわかる。


私たち黒狼の敵だった族。


そして、私を殺すために産みの親によって作られた族。


長年敵対していたけど、つい最近黒狼と榎本組で潰したばかり。


「…弟は、純は大人しくて誰にでも優しい子だったんだ。だけどいつの日か純は家族を避け、俺も避けるようになった」


大人しくて優しかった弟の変貌。


何も相談されず、その上避けられて。


高梨くんの悲しそうに笑う顔が私の胸を締め付けられる。


私も…高梨くんの弟さんと同じことをしていたから。



< 69 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop