銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「外で喧嘩しているのか、だんだんと不良になっていく弟を、俺は見つめることしか出来なかった」


喧嘩、不良。


それは高梨くんにも、その家族にもあまり馴染みのない言葉で。


そしてあまり印象のいいものではなかったんだろう。


だけど不良になってしまった弟を救いたい。


前のような関係に戻りたい。


そんな気持ちの葛藤から、高梨くんは動けなくなってしまったんだ。


「そんなある時、純のいる髑髏が襲撃されていると聞いて、俺は髑髏の倉庫に向かったんだ」


「…えっ?」


髑髏が襲撃された…ってまさか…私たちが髑髏を潰したときのこと…?


「周りは変な奴らばかりで驚いたよ」


…それはきっと榎本組の人たちだね。


いい人たちなんだけど、ヤクザをやってるだけあって顔がとにかく怖いから。


「見つからないように潜り込むとさ、そこには純と対峙する銀髪の女の子がいたんだ」


その言葉に、はっと高梨くんの顔を見る。


そんな私に、高梨くんはニコリと笑った。




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