銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「見つめているだけじゃなくて、ちゃんと受け止めた上で話を聞いてやれば良かったんだって」


「…さっき高梨くんは俺が弟を助けたと言ったな。俺は助けたわけじゃねぇ。あれは…」


「わかってる。だけど俺は助けたという表現が一番ピッタリだと思うんだ」


「ピッタリ?」


「あいつさ、髑髏が潰れて自分も潰されてやっと気づいたんだ。自分は弱いって」


それは良いのか悪いのか。


もし悪い方に捉えてしまったのなら…また同じことを繰り返してしまう。


でも助けたと高梨くんは言った。


ということは、弟くんはいい方に気づいた?


私の考えていることがわかったのか、高梨くんはニコリと笑った。


それはもう満面の笑みです。


「あの日から髪色も戻して、今じゃ不良だったのが嘘のように真面目だよ」


「そうなんだ…」


よかった。


私のような人をこれ以上出さなくて。


まぁ、私の場合はわかってて抜け出さないのだけど。


抜け出してしまったら組長なんて出来ないしね。




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