銀髪姫の恋物語〜やっと掴んだ幸せ〜
「史音がどうかした?」


「…ほら、女の子に囲まれてたでしょ?誘えなかったみたいだからさ」


あー…あの場面を見られていたわけですか。


「彼氏っていうのは知ってる。だけどもう時間がないから」


高梨くんの言いたいことがわかった。


史音が他の誰かとペアを組むことはないと思う。


だけど、史音が全員を振り切るのはなかなか難しい。


それは私が身をもって体験したからこそわかること。


史音が頑張って逃げているところを、私が助けたらいい。


それだけなんだ。


だけどそれだけのことが私には出来ない。


時間が、ないのだ。


ペア申し込みの期限がもう明日と迫ってきている。


それを史音もわかっているはず。


このペア作りの期限を過ぎると大幅減点される。


…私も史音も将来のことを考えると、ここでの減点はとても痛い。


わかっているからこそ、私は…。





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