幼なじみの隣で不器用な恋を
「…っ……」
目の前には、尻もちをついてる男の子の姿。
痛そうに顔を歪めているのを見た私は、サーッと血の気がひいていくのを感じた。
私ってば、なんてことを…!
慌てて立ち上がった私は、男の子に対して深々と頭を下げる。
「す、すみません…!私の前方不注意で、こんな惨事になってしまって…。本当にすみませんっ…!」
私、最悪過ぎる…。
他人に迷惑かけるなんて…。
オロオロしながら何度も謝っていると、男の子がゆっくり立ち上がる。
怒られることを覚悟した時だった。
「その声、もしかして………花奏?」
……えっ。
今、私の名前を呼んだ…?
聞き間違い…?
混乱しながら顔を上げると、端正な顔立ちをした男の子と目が合った。
「やっぱり、花奏だ…。」
柔らかく微笑んだ男の子に、私の胸がざわめき始める。