幼なじみの隣で不器用な恋を
「ま、眞紘くん……あっ…あの……距離が近過ぎるよ…。」
振り絞るように発した言葉。
震える声を聞いた眞紘くんは、焦った様子で私から少し離れる。
「ご、ごめん…。」
「うん……。」
私は、呟くように口にするのが精一杯だった。
眞紘くんが、私のお弁当を…独り占めしたくなるぐらい気に入ってくれたことへの嬉しさからくるドキドキ。
それから、今の…近過ぎる距離に対するドキドキ。
二つが胸の中で入り混じって、半端ないぐらいの強烈なドキドキに襲われてる。
こんな感覚、初めて…。
「花奏と結城君は本当に仲良し幼なじみだよね~!昔よりも仲良くなってるんじゃない?慶介もそう思うでしょ?」
「……そうだな。」
なっちゃんたちの会話が、辛うじて聞こえてくる。
それぐらい、心臓の音がうるさい。
みんなにも、この音…聞こえちゃいそう。
そう思ったら恥ずかしくなってきた私。
お弁当箱を抱えたまま、勢いよく立ち上がった。