幼なじみの隣で不器用な恋を

「花奏、どうしたの…?」


なっちゃんが驚いた表情を浮かべる。


「あっ、えっと……図書室に行こうと思って…。返却しなきゃいけない本があるから…。」


「でも、お弁当…全然食べてないじゃん。ご飯…食べ終わってからでいいんじゃない?」


「なんか、お腹いっぱいで食欲ないんだ…。そ、それじゃあ…先に行くね。」


「えっ!?」


ぎこちない声と共に、後退りをした私。


足早に屋上から出ると、階段を駆け下りた。


適当な理由作って、逃げてきちゃった…。


いきなり、こんなことして…みんなビックリしただろうな…。


眞紘くんも……。


でも、こんなに心臓が暴れている時に、眞紘くんの隣に座って、ご飯なんて食べれないよ…。


お腹いっぱい…っていうより、胸がいっぱい。


凄まじいドキドキは、食欲も無くしちゃうぐらいの威力があるんだ…。


好きの気持ちが、どんどん増していく。


ダメだってば…。


この想いは、眞紘くんを困らせるだけなんだから。


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