幼なじみの隣で不器用な恋を
「俺のこと、覚えてる…よな?」
「えっ…」
少し不安げに訊ねられた私は、ドクンッ…と鼓動が波打った。
聞き間違いなんかじゃない…。
“花奏”って、確かに呼んだ…。
私のことを名前で呼ぶ男の子は、一人だけ…。
「ま、眞紘…くん?」
ぎこちなく言葉にする。
途端に男の子はホッとしたような、少し照れくさそうな笑みを浮かべた。
「良かった、忘れられてなくて…。」
夢でも幻でもない…。
本当に、眞紘くんなんだ…。
「久しぶり、花奏。」
声変わりしたのか、少し低くなった声。
幼さがなくなり、大人っぽくなった顔つきや体型。
でも、くっきりした二重の目や、少し…くせっ毛な黒髪は、小学生の頃と変わってなくて…
胸がいっぱいになった。