幼なじみの隣で不器用な恋を
でも、今日は会話が途切れることもないし、声のトーンも普段と同じ。
原因は分からないけど、機嫌…直してくれたってことなのかな……?
「花奏、どうした?なんか、考え事?」
「う、ううん…何でもないよ!それより、観客席に座ろ?あっ、矢口くん!どの辺で応援すればいいかなぁ…。」
突然、眞紘くんに顔を覗き込まれてビックリした私。
慌てて体を仰け反らせた。
すごくドキッとした…。
今みたいに、近距離で見られるのは心臓に悪いよ…。
「白石、あそこ…最前列が空いてる。」
「ほ、本当だ…!そう言えば、なっちゃんが出場する短距離は何時頃からだっけ…?」
「10時。だから、あと20分ぐらいでスタートだと思うよ。」
「そっか。全力で応援しなきゃ!」
両手をギュッと力強く握って拳を作る。
最前列の席に向かうべく通路の階段を降り始めた時だった。
「あれっ?もしかして…ヒロ?」