幼なじみの隣で不器用な恋を
「今日は合宿じゃなくて、バスケの試合を観に来たんだよ。」
「試合…?」
「そう!あそこに見える体育館で、午後からプロリーグの試合があって、その選手の中に、私たちが進学した高校のOBの先輩がいるの…。」
「へぇ…。」
「それでね、試合の応援をするためにバスケ部で希望者募って、みんなで来たんだ。まだ試合開始まで時間があるから、今は…それぞれ自由行動中。」
「ふーん、そっか。」
眞紘くんを見つめる牧田さん、キラキラしてる…。
さっきから、何となく感じていた。
牧田さんは、多分…眞紘くんのことが好きだ。
ズキン…と胸に痛みが走る。
沈んでいく気持ちと共に、二人の会話する声が徐々に遠ざかっていくのを感じた。
中学時代の眞紘くんを私は知らない。
でも、牧田さんは…いつも近くで見ていて知ってるんだよね…。
授業中の姿とか、部活中の姿とか…。
眞紘くんの笑顔だって、たくさん…見てきたんだろうな。