幼なじみの隣で不器用な恋を

もしかしたら、眞紘くんも牧田さんのこと…


二人、お似合いな感じだし…。




「………花奏?」


「えっ!?」


大きな声で呼ばれてハッと我に返る。


目の前には、背を屈めて私を心配そうに見つめる眞紘くんがいた。


「なんだか、ボンヤリしてたみたいだけど…大丈夫か?調子悪いとかじゃねぇよな?」


「そっ、そんなことないよ!えっと…、なっちゃんが怪我なく良い走りが出来ますように…って思ってたんだ…。」


「そっか、良かった…。俺、星川の短距離を見るの初めてだから、すげぇ楽しみ。」


「うん、私も…。」


無邪気に笑う眞紘くんにつられて、私も自然に笑みが零れる。


「眞紘、そろそろ席に座った方がいいんじゃね?」


チラリと腕時計に目を向ける矢口くん。


そうだよね…。


もうすぐ、なっちゃんの出番だから席で待機しなくちゃ…。


「そうだな。じゃあ、牧田…俺ら友達の応援しなきゃだから……」


「ま、待って…ヒロ!」


階段を降りようとした時、牧田さんは眞紘くんの腕を掴んだ。


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