幼なじみの隣で不器用な恋を
「えっ、眞紘くん…?」
「あのさ、花奏の忘れ物って……これだろ?」
眞紘くんがバッグの中から取り出したものを見た私は、目を大きく見開いた。
なぜなら、これから取りに行こうとしていたペンケースだったからだ。
「それっ、どうして…?」
「さっき、花奏の家に挨拶を兼ねて行ったら、おばさんから花奏がペンケースを忘れていった話を聞いてさ、んで…俺が代わりに渡そうと思って持って来た。」
「そうだったんだ……。あ、ありがとう…。」
ペンケースを受け取ると、眞紘くんはフッと笑った。
「変わらないな、そういうところ。」
「えっ…?」
「小学生の時も、始業式みたく…新しい始まりの節目の日、花奏は忘れ物することが多かったもんな。」
「そ、そうだっけ!?」
瞬きを繰り返すと、眞紘くんは私の頭をポンポンと撫でる。
「…そうだよ!」
眩しいくらいの笑顔に、ドキッと胸が高鳴った。