幼なじみの隣で不器用な恋を
確かに、そうだ…。
眞紘くんが、中学時代の友達と楽しく時間を過ごしてるといいな…って思っていながらも、その水面下では、波が荒れている。
牧田さんのこと考えて、チクチク、モヤモヤ。
早く眞紘くんに戻って来て欲しい…と思ってる自分もいるぐらいだし。
心が落ち着かない。
「矢口くん、私の気持ちを見抜くなんて…すごいね。」
「別に、すごくないよ。俺も白石と同じで、好きなヤツがいるから、その気持ちが分かる…ってだけ。」
「えっ…」
思わず目を見開く。
矢口くんは、そんな私に優しい笑顔を向けた。
「眞紘のこと、好きなんだろ?幼なじみとしてじゃなく、一人の男として。」
勢いよく立ち上がった私。
心臓も連動するように跳ね上がった。
「えっと、あっ…あの………」
「もしかして、気付いてないと思ってた?」
コクンと静かに頷く。
「い、一応…気付かれないように隠してたつもりだったので……」
苦笑いしながら呟くと、矢口くんはフッと笑った。