幼なじみの隣で不器用な恋を
競技トラックの方を見つめる矢口くん。
その視線の先には、陸上部の女子と話しているなっちゃんがいた。
「矢口くん、なっちゃんのこと……」
「好きだよ。俺、今までもこれからも、ずっとアイツ一筋だから。」
矢口くんの頬が瞬く間に赤く染まる。
「こういうの口にすんのって初めてだから、すげぇ恥ずかしい…。ヤバい、顔から火が吹き出そう…。」
こんなに照れてる矢口くんを見るの初めて。
それぐらい、なっちゃんのことを想ってるんだなぁ…。
片手でパタパタと仰いで顔に風を送る姿に、微笑ましさを感じてしまった。
「なっちゃん、多分…気付いてないだけで、矢口くんのこと好きだと思うよ。だって、矢口くんと一緒に居る時が一番キラキラしてるもん…。」
「そうかな…?」
「うん!なっちゃんを幸せな笑顔でいっぱいに出来るのは、矢口くんだけだよ。」
「ありがと。白石に言ってもらえると…心強い。」
はにかむ矢口くんを見ながら、笑みが溢れた。