幼なじみの隣で不器用な恋を
「私、小学生の頃から…なっちゃんと矢口くんの仲良しっぷりを見てきたから、付き合うことになったら、とても嬉しいな…。お似合いの二人だよ!」
「それ言うんだったら、白石たちも…だろ?」
「えっ?」
「白石と眞紘だって、お似合いの二人じゃん。」
ズキン…と突き刺さるような胸の痛み。
力なくイスに座った私は、首を横に振った。
「私と眞紘くんは、幼なじみとして仲が良いだけだから…。眞紘くんにお似合いなのは、牧田さんみたいな綺麗で明るい女の子じゃないかな…。」
「さっきの人が?」
「うん…。牧田さんは眞紘くんのこと“ヒロ”って、親しげに呼んでたし、二人で話してる時も楽しそうな感じだったから…。」
言葉を零すと、矢口くんは少し首を傾げる。
「眞紘、別に楽しそうな顔はしてなかったぜ?普通の表情だった。それに、“ヒロ”って言って呼んでたのは、あのマネージャーだけじゃなくて、バスケ部の部員全員らしいじゃん。」
「そう…なの?えっ、でも…どうして矢口くんがそんなこと知ってるの?」
私は、不思議に思いながら瞬きを繰り返した。