幼なじみの隣で不器用な恋を

「その後、眞紘は…?」


「男子たちに向けて言ったんだ…。“俺にとって花奏は幼なじみ。だから、別に好きとか…そういうんじゃねぇんだよ。”って…。そのあと、“小さい頃から遊んでた幼なじみだから、離れるのが寂しいのは普通だろ。”って強い口調で話してた。」


「えっ、アイツが?」


「うん…。だからね、私の気持ちを伝えたりしたら、困惑させちゃうに決まってるよ。眞紘くんは、私のこと…幼なじみ以上には思ってないから…。」


ずっとずっと、胸の内に静かに秘めておけばいい。


それが、最善策なんだ…。


心の中で頷いていると、矢口くんは苦笑いを浮かべた。


「奥手なところは、似た者同士だね。」


「えっ…?」


「いや、こっちの話。そんなことより、“好き”の気持ちが眞紘にとって迷惑ってのは、白石の勝手な思い込みじゃない?」


「でも、眞紘くんは幼なじみとしか見てないわけだし、実際“好きじゃない”って言ってたから、恋愛対象になってないのは明らかだよ。」


それを知ってる上で、告白なんか出来ない…。


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