幼なじみの隣で不器用な恋を
「ごっ、ごめん……。勝手に涙が……」
慌てて涙を拭う。
そんな私に、矢口くんはハンカチを差し出した。
「…それが、白石の答えでしょ?」
「えっ…」
「眞紘を想う気持ち、心の奥に無理やり押し込めるより、素直に曝け出した方がいいんじゃない?アイツのこと、誰にも譲りたくないんだろ?」
「……うん…」
眞紘くんにとって私は恋愛対象外。
それなら、ずっと幼なじみのままで居ようと思ってきた。
自分の気持ちを打ち明けたら、眞紘くんを困らせるし、気まずい雰囲気になるに決まってる。
だから、心の中に秘めておこう…と。
でも、そんなの…自分を守るための都合のいい言い訳だ。
本当は、告白して…眞紘くんにハッキリとフラれてショックを受けるのが怖いだけ。
自分が傷つかないようにするための逃げ道だった。
今まで、何やってきたんだろ…私。
告白して困らせるぐらいなら、片想いを隠して仲良しの幼なじみでいよう…だなんて。
努力する方向、全然違ってる…。