幼なじみの隣で不器用な恋を
「この辺りなら、誰もいないかな…。」
体育館裏の静かな木陰。
また周りを見回した牧田は、足を止めて俺の手を離した。
「それで、どうしても話しておきたいことって…何?」
高校のバスケ部関連の悩み?
あるいは、勉強の悩み…だろうか?
いや、でも…牧田に悩みを相談されるほど親しい間柄じゃないし…。
頭の中に疑問符を浮かべていると、牧田は少し緊張した面持ちになる。
「それじゃあ、言うね…。」
そして、大きく深呼吸をした。
「私、ヒロのことが好き。中学の時から、ずっと…。私と付き合って下さい…。」
えっ…。
牧田が俺のことを…?
中学の頃から…?
思いも寄らぬ言葉に驚きながらも、俺は口を開いた。
「ごめん、牧田とは付き合えない。俺、好きなヤツがいるから…。」
花奏以外の女と付き合うとか、今まで一度も考えたことない。
もちろん、この先もずっと…。