幼なじみの隣で不器用な恋を
「白石さんと話してた時のヒロ、私が今まで見たことないような優しい表情してるんだもん…。それに、あんな柔らかい笑顔も…。正直、あの時点で両想いになれる見込みは無いだろうな…って思った。」
牧田は悲しげに笑う。
「それでも、この恋に…ちゃんと区切りをつけたくて打ち明けたの。だから、ハッキリ答えてくれて、ありがとう…。」
「あ、ああ…。」
「ヒロと白石さん、お似合いな二人だと思う。」
「ありがと。でも、現時点では俺の一方的な片想いだから、両想いになれるよう頑張るよ。」
「うん、頑張ってね。それじゃあ、ヒロは競技場に戻って?私の話は、終わったから…。」
「ああ。」
手を小さく振る牧田に背を向けて、競技場の方へと走り出した。
慶介だけじゃなく、牧田やタツ。
色んなヤツに背中を押してもらっちまったな。
今まで経験したことないぐらい緊張しそうだけど、精一杯…心を込めて伝える。
俺の気持ちを、花奏に。