幼なじみの隣で不器用な恋を

「白石さんと話してた時のヒロ、私が今まで見たことないような優しい表情してるんだもん…。それに、あんな柔らかい笑顔も…。正直、あの時点で両想いになれる見込みは無いだろうな…って思った。」


牧田は悲しげに笑う。


「それでも、この恋に…ちゃんと区切りをつけたくて打ち明けたの。だから、ハッキリ答えてくれて、ありがとう…。」


「あ、ああ…。」


「ヒロと白石さん、お似合いな二人だと思う。」


「ありがと。でも、現時点では俺の一方的な片想いだから、両想いになれるよう頑張るよ。」


「うん、頑張ってね。それじゃあ、ヒロは競技場に戻って?私の話は、終わったから…。」


「ああ。」


手を小さく振る牧田に背を向けて、競技場の方へと走り出した。


慶介だけじゃなく、牧田やタツ。


色んなヤツに背中を押してもらっちまったな。


今まで経験したことないぐらい緊張しそうだけど、精一杯…心を込めて伝える。


俺の気持ちを、花奏に。


< 154 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop