幼なじみの隣で不器用な恋を
巡りあう初恋
「決勝、あと10分ぐらいで始まるな。」
「そう、だね…。」
カメラの準備をする矢口くんの隣で、ソワソワと落ち着きのない私。
眞紘くん、まだ戻って来ない…。
友達との話に花が咲いていて、時間を忘れるぐらい盛り上がってるのかな…。
それとも、牧田さんと話が弾んでるのかな…。
頭の中で色々と想像しながら、競技場の出入り口をジッと見つめた。
「眞紘、夏波の決勝までには戻って来るって言ってたから大丈夫だよ。」
「う、うん……。」
きっと、眞紘くん…間に合うよね。
そう思いながらも、出入り口の方ばかり見てしまう。
「あの、私…飲み物を買ってこようかな…。矢口くん、何か飲みたいものある?」
「んー、俺はいいや。」
「そっか。じゃあ、ちょっと行ってくるね。」
座って待っていても気になるだけ…。
そう思った私は、少し様子を見に行こうと競技場の外に出た。