幼なじみの隣で不器用な恋を
「眞紘くん、どこにいるんだろ…」
体育館前にやってきた私。
周辺にはチラホラと人がいるけれど、眞紘くんはいない。
もしかして、体育館の向こうにある公園の方まで行ってるのかな…?
そっちの方が、ゆっくり話せるだろうし…。
公園まで行ってみようかと思っていた、その時だった。
「えっ、白石…さん?」
突然…名前を呼ばれて振り向くと、そこには驚いた表情を浮かべる牧田さんの姿があった。
「どうしたの?陸上競技、もうすぐ始まるんじゃなかったっけ…?」
「は、はい…。それで、眞紘くんにも…お知らせに来たというか、呼びに来たというか……」
まさか、牧田さんと会うなんて思ってなかったな…。
喋り方や声が、ぎこちなくなるのを感じていると、牧田さんは意外そうな顔で瞬きを繰り返した。
「ヒロなら、さっきまで私と一緒に居たけど、もう競技場に戻って行ったよ…?」