幼なじみの隣で不器用な恋を
「じゃあ、私…そろそろ他のバスケ部員と合流しなくちゃだから、行くね。」
「あっ、はい…。」
そ、そうだ…。
私も、競技場に戻らなくちゃ…。
牧田さんと別れた私は、慌てて走り出す。
競技場の傍まで来たところで、眞紘くんが私の方に向かって走ってくる姿が目に映った。
「花奏、見つかって良かった…。」
眞紘くん、呼吸が荒い…。
「もしかして、私のこと…探してた?」
「ああ。慶介が飲み物を買いに行ったって言うけど、なかなか戻って来なかったから。何かあったんじゃねぇかと心配になってさ。」
「そ、そうだったんだ…。」
「どこまで買いに行ってたんだよ、それ。自販機なら、あそこにあるのに。」
眞紘くんは、私のペットボトルに視線を向ける。
「買ったのは、あの自販機だよ。でも、その後……眞紘くんが戻って来ないのが気になっちゃって、それで体育館まで探しに行ってたの。」
「俺を、探しに…?」
頷く私に、眞紘くんは目を見開いた。