幼なじみの隣で不器用な恋を
「そうしたら、偶然…牧田さんに会って、眞紘くんは競技場に戻って行ったって言われたんだ…。」
「そうか…。じゃあ、すれ違いになっちまったんだな。」
「か、勝手に探しに行ったりして、ごめんね…。」
「いや、そもそも俺が早めに戻らなかったのが悪かったわけだし、謝るのは俺の方。ごめんな。」
「ううん、私の方こそ……」
そう切り出したところで、眞紘くんは私の頭にポンと軽く手をのせる。
「花奏は悪くない。だから、そんなに謝ろうとすんなよ。」
「う、うん…。」
「あっ、星川の決勝…始まっちまう。競技場の中に入らないと。」
眞紘くんは私の手を握ると、足早に競技場の入り口へと向かった。
心臓、すごくドキドキしてる…。
触れられてる手が熱い…。
私が告白したら、眞紘くんも…こんな風にドキドキしてくれるかな…?
恋愛対象として、意識してくれるかな…?
期待に胸を膨らませる私がいた。