幼なじみの隣で不器用な恋を

徐々に速くなっていく鼓動。


緊張が体を駆け巡る中、あっという間に噴水のところに辿り着いてしまった。


「噴水の周り、花壇になってる。綺麗だな。」


「う、うん…。」


今は、花壇よりも眞紘くんへの告白で、いっぱいいっぱいだ。


ありったけの勇気を振り絞って、素直な気持ちを…


素直な言葉で…。


深呼吸をした後、話を切り出そうとした時だった。


「あ…、そう言えば…牧田に会ったって言ってたよな?」


「うん……。」


眞紘くんからの思わぬ質問に、発しようとしていた言葉を飲み込む。


「その時、アイツ…他に何か話してた?俺が競技場に戻ったこと以外で。」


「えっと…」


頭の中に、牧田さんと会った時の光景がパッと蘇った。


告白の話も聞いたけれど、なんだか言い出しにくい…。


そう思った私は…


「ほ、他には特に何も…。」


ぎこちなく誤魔化した。



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