幼なじみの隣で不器用な恋を
「実は、あの日の放課後…眞紘くんと一緒に帰ろうと思って教室で待ってたんだけど、なかなか帰って来なくて…。それで様子を見に…。」
「…そっか。」
「盗み聞きみたいなことして、ごめんね…。」
「いや、俺がいつまでも体育館で遊んでたのが原因なわけだし、花奏は悪くねぇだろ。」
眞紘くんは少し沈黙した後、気まずそうに口を開いた。
「ごめん。俺、あの時…嘘ついた。本音とは違うこと言ったんだ。」
「えっ…」
瞬きを繰り返していると、眞紘くんは私の手をギュッと握る。
「あの時期は…花奏と離ればなれになることが辛くて、ずっと沈んでた。なんで、このタイミングで転校しなくちゃいけないんだ…って、両親に対して苛立ちすら感じてたんだ。」
私も転校のこと聞いた後は、ずっと寂しかった。
転校の話が無くなればいいのに…って思ってたっけ。
「気付けば、毎日…花奏のことばかり考えてる自分がいた。ずっと傍に居たいと思った。そして、あの日の昼休み…ようやく花奏が好きなんだと自覚したんだ。」
「お昼休み…?」
眞紘くんは懐かしそうに頷いた。