幼なじみの隣で不器用な恋を
「ま、まあいいや。とにかく、花奏と結城君が付き合うことになって、とても嬉しい!おめでとう、花奏!」
「あ、ありがとう…。」
「そっ、そうだ!私…陸上部の部室に用事があるんだった!急がなくちゃ…!」
なっちゃんは、おにぎりの残りを口に放り込むと、勢いよく立ち上がった。
「じゃあ、お先!」
慌ただしく屋上から出て行く姿を見届けた後、私は矢口くんに視線を移した。
「なっちゃんと、何かあったの…?」
明らかに、いつもと様子が違う。
妙にソワソワしてるというか、ぎこちないというか…。
「お前ら、珍しくケンカでもしたのか?」
眞紘くんも不思議そうに首を傾げた。
「ケンカはしてないよ。ただ、少し心当たりはあるけど…」
「心当たり…?」
矢口くんは苦笑いしながら頷く。
「実は、土曜日に地区大会の打ち上げを夏波の家でやった時、俺…アイツに告白を……」
「えっ!!矢口くん、なっちゃんに告白したの!?」
驚きのあまり、私は瞬きを何度も繰り返した。