幼なじみの隣で不器用な恋を
「んで、俺…泣いてる夏波を抱き寄せたんだ。自分でもビックリするぐらい、自然に。なんか、放っておけなくてさ…。」
「そっ、それで?」
「その状態のまま、アイツを慰めたり励ましたりしてたんだけど、暫くしたら夏波は泣き疲れて寝ちまってさ。結局、告白は出来ずじまいだったよ。」
「そうだったんだ…。」
打ち上げ会で、そんなことが…。
「俺、今まで夏波を抱き締めたりしたことなかったから、多分…戸惑わせちまったたんだろうな。」
矢口くんは小さく溜め息をついた。
「だけど、星川の不自然な態度から察するに、戸惑ってるだけじゃなくて、お前のこと意識してんじゃねぇの?」
「うんうん、そうだよ!」
私は、眞紘くんの言葉に同調するように頷く。
「なっちゃん…今回のことがキッカケで、矢口くんに対する恋心が芽生えたんじゃないかな…。きっと、いい変化だと思う!」
なっちゃんとは付き合い長いけど、あんな風に…ぎこちない表情や落ち着かない仕草は見たことないもん…。