幼なじみの隣で不器用な恋を

「でも、白石たちの場合は…お互いが“相手に幼なじみとしか思われてない”っていう誤解をしてたから、なかなか本当の気持ちには気付きにくかったのかもな。」


「うん…。」


眞紘くんから告白してもらった瞬間も、これは夢なんじゃないかって疑ってしまったぐらいだし。


「こうして、俺と花奏が付き合えるようになったのも、慶介のおかげだな。お前には感謝してる。」


「不器用な二人を見てたら、応援したいなと思っただけだよ。白石も眞紘も、俺の大事な友達だから。」


「矢口くん、ありがとう…。」


心の中にジンワリと広がる温かさ。


笑顔でお礼を言うと、矢口くんは嬉しそうに笑いながら立ち上がった。


「さてと、俺は教室に戻るよ。白石たちの邪魔しちゃ悪いし。」


「えっ…」


「午後の授業が始まるまで…まだ時間があるから、この後は二人きりで過ごしなよ。それじゃあな。」


私たちにヒラヒラと手を振った後、矢口くんは教室へと戻って行ってしまった。


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