幼なじみの隣で不器用な恋を

眞紘くんと私しかいない屋上。


途端にドキドキが強くなる。


「や、矢口くん…気を利かせ過ぎだよね…。」


「でも、俺は素直に嬉しい。花奏と二人きりになりたかったから。」


眞紘くんと視線が絡まる。


優しい眼差しに心臓が破裂してしまいそうな気がして、慌てて目を逸らす。


俯くと、私の手に眞紘くんの手が重ねられた。


「なんで、目…逸らしてんの?」


少し不満げな声が耳に届く。


「えっと……」


「二人になるの、嫌だった…?」


おそるおそる訊ねる眞紘くんに、私は首を左右に振った。


「嫌なわけないよ…。そうじゃなくて、眞紘くんの彼女なんだ…っていう実感が、時間が経つにつれて大きくなってきて…。そしたら、目を合わせるだけでも尋常じゃないぐらいにドキドキしちゃうんだ…。」


幼なじみから彼女へ。


眞紘くんの傍に居ることに変わりは無いけれど、鼓動の速さも音の大きさも全然違う。


自分でもビックリだ。


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