幼なじみの隣で不器用な恋を
だいたい、日誌を提出した後に用事を押しつけるか?
プリントなら、明日のホームルームの時に自分で持って行けばいいだろうが。
しかも、“用意するから少し待っててくれ”とか言って、結構…待たされたし。
だから、その間…花奏のことをついつい考えちまったんだよな。
あー、恥ずかしかった…。
溜め息を零しながら、プリントの束を抱えて歩き出す。
すると、前方から近付いてきた人物に思わず頬が緩んだ。
「花奏…!」
不思議なんだよな。
今の今まで心の中で担任に文句言ってイライラしてたのに、花奏の顔を見た途端…そんなことがどうでも良くなって、穏やかな気持ちになれるんだから。
「眞紘くん、そのプリントの束…どうしたの!?」
「日誌を出しに行ったら逆に用事頼まれてさ。教室まで運ぶように言われたんだ。」
「そうなの!?どうりで、職員室に行ったきり…なかなか帰って来ないなぁ…って思ってたんだ。あっ、私も半分持つよ。」
「ありがとう。でも、俺一人で持てるから大丈夫。」
気遣ってくれる花奏に笑顔で言葉を返した。