幼なじみの隣で不器用な恋を
制服が俺らと同じ。
しかも、あの話し方から察するに同学年みたいだけど、知らない顔だな。
ったく、ニヤニヤしながら花奏を見てんじゃねぇよ。
心の中で黒い炎が燃え始める。
「今日、一人かぁ…。」
「いつも付きまとってる幼なじみはいないっぽいよな。声、掛けてみるか?」
「だな。一緒に帰ってみたいし。」
誰が、付きまとってる幼なじみだって?
俺は花奏と付き合ってんだよ。
嬉しそうに会話する男たちを視界に捉えながら、苛立ちで眉間にシワが寄っていく。
絶対に声なんて掛けさせてやんねぇから。
俺は荒々しい足取りで花奏の傍へと向かった。
「買う雑誌、あった?」
優しく花奏に微笑む。
「うん、あったよ!」
ぶ厚い雑誌を両手に持って笑顔で答える姿に、心臓が跳ね上がった。
何だよ、この可愛さ…。
こんな笑顔、アイツらに見せてたまるか。
新刊本コーナーにいる男たちの視界に花奏を入れないように、自分の背中で遮った。