幼なじみの隣で不器用な恋を
翌日の放課後。
花奏の部活が終わるまでの時間潰しをするために、慶介のいる3組の教室に向かった俺。
ここ数日の出来事を話した途端、慶介からフッと笑う声が漏れた。
「眞紘と釣り合わない…か。なんか白石らしいな。それから、相変わらず安定した危うさも」
「だろ?俺の彼女に相応しいのは花奏しかいねぇのにな。そっちより、周りの男に警戒して欲しいんだよ。一昨日の放課後だって……」
そう、あれは…谷川とかいう女から告白される20分ぐらい前。
俺が教室を出て下駄箱にやって来た時のこと。
1年2組の下駄箱の前に、一人の男が立っていた。
身長は俺とほぼ同じで、少しウェーブがかかった茶髪、端正な顔立ちで眼鏡を掛けていたソイツ。
同じクラスの人間でないことは分かった。
スマホをいじっていたけど、俺の足音に気付いて顔を上げるなり出た一言は…
『あ、結城 眞紘…。』
眉をしかめて、いかにも面倒くさそうな表情。
そんな顔を見れば、だいたい…察しがつく。