幼なじみの隣で不器用な恋を
『もしかして、花奏のこと待ってんの?』
その言葉に、男は少し顔を赤くしながら目を見開いた。
やっぱりな。
分かりやすいヤツ。
冷ややかな目で男を睨むと、男は舌打ちをしてきた。
『お前さ、白石さんの幼なじみってだけだろ?それなのに、いつも彼女にベタベタしててウザいんだよ。』
荒々しい声が下駄箱周辺に響く。
『白石さん、本当に可哀想だよな。お前みたいなのが幼なじみだなんて。もっと良い男は周りにいくらでも居るのにさ。』
“俺もその一人だけど”とか、言いそうな勢いだなコイツ。
お前が花奏に釣り合うわけねぇだろ。
苛立ちが頂点に達した俺は、さっきよりもキツく睨みつけた。
『言っとくけど、花奏は…もう幼なじみじゃなくて俺の彼女だから。』
『は?』
『付き合ってる…って言ってんだよ。』
かなり驚いたらしく、目を見開く男。
沈黙するソイツに、俺は溜め息を零した。