幼なじみの隣で不器用な恋を
『そういうわけだから、今後…花奏に近付こうとするなよ、絶対に。』
普段出さないような低い声で警告すると、男は眉間にシワを寄せて複雑そうな表情をしながら、校舎を出て行ったんだ。
ったく、思い出すだけでも腹立たしい。
「眞紘、今…ものすごく怖い顔してる。一昨日、そんなに嫌な出来事があったわけ?」
「ああ。知らない男が、花奏と一緒に帰ろうとしてたから未然に阻止した。下手したら、告白しそうな感じだったし。」
「男から見ると、白石は…ほんわかして可愛くて守ってやりたい女らしいよ?白石を意識してるヤツ、ちらほらと居るし。」
「ちらほらどころじゃねぇよ。結構居るじゃねぇか。」
学校にも街中にも、敵はたくさんいる。
「眞紘が傍に居るから、みんな声掛けにくいみたいだけど、隙あらば…って狙ってるヤツいるみたいだぞ?」
「そういう男たちを黙らせるためにも、俺は花奏の幼なじみじゃなくて彼氏だ…ってことを堂々とアピールしておいた方がいいんだけどな…。」
付き合ってることを知れば、近付く男も大幅に減るはずだ。