幼なじみの隣で不器用な恋を
どんより沈んでいると、不意に先輩は私の目の前に手を差し出す。
その意味が分からず、疑問符を浮かべた。
「良かったら、これから…俺と何か美味しいものでも食べに行かない?」
「えっ?」
「今日、友達と遊ぶ予定だったんだけど、相手が急用で来れなくなってさ。俺…時間が出来ちゃったんだ。だから、白石さんさえ良ければ、どうかな…って。」
もしかして、先輩…気を遣ってくれてるんだろうか。
ここよりも、喫茶店とかに入った方が、この格好を大勢の人の目に晒されることもないから。
でも、私は眞紘くんを待ってるし、ちゃんと断ろう…。
そう思って口を開こうとした時だった。
「あの、俺の彼女に馴れ馴れしく声掛けるの止めてもらえませんか?」
聞き慣れた声が頭上から降ってきたかと思うと…
「……っ…!?」
突然、後ろからギュッと抱き締められた。