幼なじみの隣で不器用な恋を

「まっ、眞紘くん…!」


振り向くと、先輩を睨んでいる彼の姿が目に映る。


明らかに不機嫌な表情だ。


「あれ?君、白石さんの幼なじみだよね?どこに行くにも白石さんに付きまとってるわけ?」


「幼なじみじゃなくて、彼氏ですから。今日も、これからデートなんですよ。なので、どっかに失せて貰っていいですか?」


怒りが込められた低い声。


先輩は鬱陶しそうに顔を歪めると、足早に立ち去ってしまった。


「もしかしたら…とは思ってたけど、早速…男にナンパされてんじゃん。」


後ろから回されていた手が離れる。


眞紘くんは私の目の前に立つと少し眉をしかめた。


「な、ナンパとか…そういうのじゃないよ!不自然な格好をしてる私に、先輩は気を遣ってくれただけ。飲食店に入った方が、ここよりも人目につかなくなるから…。」


私がナンパだなんて有り得ない…。


アタフタしながら説明する私に、眞紘くんは苦笑した。


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