幼なじみの隣で不器用な恋を
「眞紘くんっ、今の…」
こんなに人が多いところで…!
触れられたばかりの唇に熱が宿るのを感じていると、眞紘くんは満足げに笑う。
「キス、したかったから。それに、周りのイラつく視線に対して牽制できるし…。」
どういう意味なんだろう…?
頭の中に疑問符を浮かべると、眞紘くんは私の手を握って歩き出す。
「まあ、いいや。とりあえず、ここにずっと居ても仕方ないし、移動しようぜ?」
「電車に乗るの?」
「ああ。行き先は着いてからのお楽しみってことで。」
どこ行くのかな…?
疑問に思いながら、駅の構内へと入った。
眞紘くんの買いたいものって、一体…なんだろう。
着くまで秘密って言われると、余計に気になっちゃうよ…。
どこに行くのか分からないドキドキと、キスされたドキドキ、そして…手を繋ぐドキドキ。
色んなドキドキが混ざって、刻む鼓動が慌ただしい。
こんな調子で、一日…心臓が保つかな…。