幼なじみの隣で不器用な恋を
今の、本当に私たちのこと言ってたんだ…。
幻聴とかじゃなくて。
「ほら~見て見て、そこのカップル!“絵になる二人”って、こういう時に使うんだね。」
「うんうん。いいなぁ~羨ましいぐらい似合ってるよね。」
すぐ近くを通り過ぎていく数人の女の子たちが、私たちを見ながらヒソヒソ声で話す言葉が耳に届く。
絵になる…って言ってたよね?
そんな風に見て貰えてるの?
呆然とする私の頭を、大きな眞紘くんの手が優しく撫でる。
「ほらな、周りの見方…違ってるだろ?」
「う、うん……。」
「中には、妬みやら僻みで釣り合わないだの何だの言う女もいるだろうけど、みんながみんな、同じこと思ってるわけじゃねぇよ。だから……」
眞紘くんは私の耳元に唇を寄せた。
「もっと堂々と構えてればいいんだよ。俺が好きなのは花奏で、花奏以外に相応しい女なんて、どこにも存在しないんだから。」