幼なじみの隣で不器用な恋を
「いいんだよ、それで。」
眞紘くんの指が熱くなった唇をなぞる。
「俺だって、いつも花奏のこと独り占めしたいって思ってる。もっと一緒に居たいし、触れたい。」
慌ただしい鼓動の音が体中に鳴り響く中、優しく揺れる瞳が私を映した。
「だから、花奏も…遠慮なく欲張れよ。俺に、たくさん甘えて?」
今でも、充分…甘えてる方なのに……
そんな優しいこと言われたら、もっと欲張りになりそう…。
心臓が破裂しそうな勢いのドキドキに襲われながら、小さく頷く。
眞紘くんは、私に微笑ましそうな笑みを見せると、額に軽く触れるキスを落とした。
「そろそろ、帰る?」
「う、うん…」
不意打ちのキスにビックリして、声が裏返っちゃった…。
恥ずかしい…。
茹で上がったタコみたく赤く染まりきってるんだろうな…。
少し俯く私の手を引いて、眞紘くんはゆっくりと歩き出した。