幼なじみの隣で不器用な恋を
“用件済ませて、さっさと帰れよ”的なオーラを全面的に押し出す。
「なるべく早く帰るから、怒るなって。ちょっと眞紘の意見を聞きたくてさ。まあ、座れよ」
そんな俺の空気を察しつつも、慶介は部屋に置いてある小さなテーブル脇のカーペットをポンポンと軽く叩いた。
ここ、俺の家なんだけど。
眉間にシワを寄せながら腰を下ろすと、慶介は真剣な顔をしながら口を開く。
「実は、昨日…いきなり俺の家に夏波が来たんだ。まあ、同じマンションに住んでるし、アイツが突然来るのは昔からよくあることなんだけど…」
「それで?」
「話があるってことでさ、聞いてみたら……」
慶介は、ぎこちなく視線を逸らした。
「写真部の女子部員と、あまり仲良くしないで欲しいって言われた。親しくしてるの見るとモヤモヤするし、胸が痛くなるって。」
ああ、一昨日の放課後に星川が俺らに話してたことか。
自分の思ってること、ちゃんと慶介に伝えたんだな。