幼なじみの隣で不器用な恋を

だから、学校や街中でも理性が飛びそうになる時がある。


そんなんで、二人だけしかいない部屋で普通に接することが出来るだろうか…。


「その顔から察するに、大丈夫かどうか…だんだん不安になってきたんだろ?」


あっさりと俺の考えてることを見通す慶介。


図星ながらも、“その通り”だなんて認めるのも癪で…


「別に不安になってねぇよ。一緒に夕飯を食べてお祝いをする時間ぐらい、自分の理性なんて余裕で保てる。」


強気な言葉が口から飛び出した。


余裕ってのは、ちょっと言い過ぎかもしれないけど。


「ふーん、それならいいけど。じゃあ、またな。」


パタンと玄関のドアが閉まり、静寂が訪れた室内。


俺は、クシャクシャと頭を掻いた。


大丈夫だよな。


俺の部屋で過ごすのは、数時間程度。


別に泊まるわけじゃねぇし。


それに、今までだって理性が崩れて暴走するような事態になったことは無い。


なんとか乗り切れるだろ。


大丈夫、大丈夫…。


心に何度も言い聞かせた。


< 264 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop