幼なじみの隣で不器用な恋を
「い、いえ…。私、マネージャー経験とかないので…」
「大丈夫!みんな最初は初めてだから。」
「でも、特にやりたいと思っていませんので、申し訳ないんですが…」
お断りをしようとしていた時、別の男子生徒が私の傍にやってきた。
「それなら、僕たちの演劇部に加入しない?君、演技とか向いてそうな気がするよ!」
「えっ…」
マネージャーの次は演劇部…。
早く帰りたいのに…。
部活勧誘の先輩たちに囲まれて困っていると、突然…後ろから手をグイッと引かれた。
「すみません。コイツ…今日は早く帰らなきゃいけないんで、失礼します。」
振り向いた私は、瞬きを繰り返す。
「ま、眞紘くん…!?」
「行くぞ、花奏。」
少し素っ気ない口振りの眞紘くんは、歩くスピードも速くて…。
手を引かれてる私は、駆け足気味になる。
そんなに急がなくても大丈夫なのに…。
心の中で思っていると、校門を出たところで、眞紘くんは足を止めて私の手を離した。