幼なじみの隣で不器用な恋を
「花奏、そろそろ行こうぜ?コイツらと話してると遅刻しかねない。」
「えーっ、まだ時間に余裕あるのに!結城くんってば、そんな言い方するなんて、ちょっと酷くない?」
「全然酷くねぇし。」
なっちゃんは拗ねたようにプーッと頬を膨らませる。
その姿を見ながら、矢口くんは優しく目を細めた。
「夏波、あんま怒んなよ。今のは、俺らを二人きりにさせようっていう、眞紘なりの気遣いだから。」
「き、気遣い!?」
「俺も、今日は…みんなで登校っていうより、夏波と登校したい。出来るだけ、二人で過ごす時間を多くしたいんだ。」
矢口くんの言葉を受けて、湯気が出そうなほど顔を赤く染める、なっちゃん。
そんな、ほのぼのムード漂う二人をチラチラ見ながら、私たちは歩き始めた。
「……ったく、慶介のヤツ。また俺の本心を見抜きやがって。」
直後、ポツリと独り言のように呟いた眞紘くん。
少し不機嫌そう…。
さり気なく気遣ったことが伝わっちゃったから、照れてるのかな?
きっと、そうだよね。