幼なじみの隣で不器用な恋を
そんな、なっちゃんたちの嬉しい報告から始まった一日は、思ったよりも時間の流れがゆっくりで…
放課後の時間に辿り着いた時には、“ようやく”感が半端なかった。
今日の授業時間、本当に長く感じたなぁ…なんて思っていると…
「あ~、良かった!まだ帰ってなくて!」
なっちゃんが、私を見ながら慌てた様子で教室に入って来る。
急いでどうしたんだろう?
不思議に思っていると、なっちゃんは笑顔で、持っていた赤いチェック柄の可愛らしい紙袋を私の前に差し出した。
「花奏、誕生日おめでとう!本当は、朝…渡そうと思ってたんだけど忘れちゃったから。」
「ありがとう、なっちゃん…!」
すごく嬉しい…。
温かい気持ちが胸いっぱいに広がって笑みが零れた。
「あっ、結城くんが早く花奏と帰りたそうにしてるから、私はこれで。またね!」
ニヤリと笑いながら手を振って教室を出て行く、なっちゃん。
眞紘くんの席を見ると、“そんな顔してない”と言わんばかりの不服そうな表情を浮かべていた。