幼なじみの隣で不器用な恋を
「星川、ワザと俺の席まで聞こえるぐらい大きい声で話しやがって。俺は二人の会話してるところをチラリと見ただけだってのに。」
帰り支度をして、校舎を出た私たち。
照れくさそうに不満を漏らす姿に、自然と頬が緩む。
「なっちゃん、気を遣ってくれたんじゃないかな?この後、私たち二人で誕生日のお祝いすること知ってるし。」
「いや、多分…朝のこと根に持ってたんだよ。」
それって、遅刻するからってことで、眞紘くんが私を連れて先に行こうとした時のことかな?
なっちゃん、納得いかなそうに頬を膨らませてたっけ。
でも、根に持ってるような雰囲気じゃなかった気もするけど……。
「まあ、いいや。この話はこれで終わり。今日は花奏の誕生日なわけだし、一緒に過ごす時間を楽しまないとな。」
優しく笑った眞紘くんは、何故か家の方向から少し外れた道を進み始めた。